あったかくて、人の心に残ることを。 あったかくて、人の心に残ることを。

手仕事がしたいという
これからの感覚

社|先代である私の父がはじめた社寺仏閣を手掛け続けるということが、今後うちの会社にとっては非常に重要な部分になってくると感じています。つまり、それは大工が持つ貴重な技術の継承に繋がるということでもあって。正直なところ、私の代になった時に、今後どうやって社寺仏閣に向き合っていこうかと悩んでいました。自分の会社内に大工を抱えていくということは、会社の経営上負担は大きなもので。簡単なのは大工も一時的に外注した方が会社としては身軽なんですが、それだと技術がきちんとうちの会社や地域に残っていかないと思ったんです。

神社写真

 せっかく大工がいて、技術があるんだから、そういうものが育っていく中で、それらを活かす仕事をどう我々が作っていくのかと。そんな時に大事に思えたのが社寺仏閣の建築に携わるということだったんです。だから将来を考えると、社寺仏閣の建築を通じて、新しい若い世代を今から育てていくということが大事なことだと思うんです。社寺仏閣を建てるという現場では、今の時代はあまり使わなくなってしまった「カンナ」を使ったり、本当の意味で大工としての実績・経験が蓄積されていくんですよね。

大工写真

戦|ここ最近は、若い子でも社寺仏閣などの大工本来の仕事ができるという理由からうちに入社したいと志望してくれる子がだんだん増えてきていますね。“手仕事をしたい"みたいな感覚の子が増えてきているようで。やっぱり、効率的ではあるけど、製材所・加工場でできてきたものを組み立てるだけではつまらないんですよね。
 自分の手でやるということが大事にされはじめていくということは、今後建築業の現場も良い意味でスピード感がもう少しゆっくりとしたものに変わってくるんだろうなと。今までは効率が求められてきたところから、スローなものづくりの現場が魅力的になってくる気がしています。

大工写真

 あと、うちには「宮大工」がいますが、それって、とてもあったかいことですよね。手仕事って、人を感じられるという意味であったかくて。だから今こそ「宮大工」という存在を大事にしたいなあって、私すごい思うんです。そして、地域のお寺さんやお宮さんにお仕事のご依頼をいただけるって、とても貴重で幸せなことだなあとも思って。お寺や神社って地域の人たちの気持ちの拠りどころみたいな場所ですからね。そこに携われるということは、地域の工務店としてはだいぶ強みだなと感じています。極論、私はこれから住宅を建てなくても、実際うまくいくかどうかは別として、寺社仏閣に携わることだけは、会社の大事な軸として最後の最後まで続けて残していきたいって思っているんです。

大工道具写真

 先にお話した商店街の記憶の話なんかもそうですが、人の心に残ることがいいんです。私はこの会社に入ってあまり時間は経っていませんが、「工務店って何をやってるのかいまいち分からないけど、普通に家とか作ってるんでしょ?」と言われるのが一般的な認識だと思っていて。だからこそ、「社寺仏閣など、人の気持ちに近いところのお仕事もしているんです」というところを、しっかりとうちの会社らしさとして育てていけたらいいなと思います。

建築でお客様の気持ちに
寄り添うということ

社|次の世代にこの会社をどう繋げていくかというのが、今私が考えなくてはいけない重要なところ。そのために今何やるかっていうことでもあるし、会社とすれば今やっている建築・建設の仕事環境をベースにしながら、また何か別のラインに拡がればいいかなと思っています。深掘りするという面でいえば、先にお話したとおり社寺仏閣のこともそうで、今大切にしている仕事をより魅力あるものに昇華していくっていうのが一つですね。

社長写真

 結局どの仕事もそうだけど、サービス業ですから相手がいて仕事ができている。相手にいかに喜んでもらい、満足してもらえるか。だから住宅一つとっても、住宅ってのはあくまでも手段であって、目的は何かと言えば「こういう暮らしをしてみたい」っていうお客さまの気持ちに寄り添うこと。こうしたいっていうお客さまの目的のために「建設業」としての我々の役目があるわけだから、そういうソフトな面での気持ちにいかに寄り添っていける工務店であるかっていうことが問われる時代になってきていると感じています。

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